2009年12月16日水曜日

酒飲みの品格

わが町にはこれぞといった飲み屋がない。
チェーン店系の店なら掃いて捨てるほどあるが、
気の利いたおやじや女将のいる小体な飲み屋が払底してるのだ。

実は、駅にほど近くの、酒屋の軒を借りた立ち飲みのやきとん屋が
なかなかの繁盛店なのだが、あいにく出入り禁止を食らっている。
辛味噌の利いた生レバーや生ハツはもう食べられないのだ。

年寄り夫婦がやっていて、軽口やダジャレを連発する亭主が
ファミリアスな雰囲気をつくっているためか、常連客も多く、
夕方5時頃になると、仕事帰りのサラリーマンや学生、近所の主婦など
で黒山の人だかりとなる。

私もその常連の一人だった。が、ある日突然、
出入り差し止めを食らってしまった。
その日は友人と二人で串をほおばっていたのだが、
少しばかりテンションが高かったのか、話し声がすこぶるうるさかったようで、
他の客の注文がよく聞こえない、とおばちゃんがまずひと声吼えた。

こっちは恐縮してしばらく静かにしておった。だが、飲むほどに酔うほどに、
またおしゃべりが始まって……ついに、
「あんたたち、うるさいんだよ!」
おばちゃんが夜叉のような顔してキレた。ついで亭主もキレた。

あんなに仲がよかったのに、足かけ10年も通いつめたのに……
いきなり「うるさい!」はねえべさ。とうとうこっちもぶちキレた。

ケンカ別れしてもう5年になる。こっちも意地だから、店の前は通らない。
喧嘩っ早いのは昔から。性格ってものは変わらないものだとつくづく思う。
五十路を越え、大人げないとは分かっているけど、瞬間湯沸かし器みたいに
すぐカッカしてケンカをおっぱじめる、そんな性格をどこか愛おしいとも思っている。
♪バカは死ななきゃ~ァ、治ら~な~い

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