2009年12月24日木曜日

立ち食いそばを召しませ

近頃はもっぱら赤ワインを飲んでいる。
それもふだん飲みの安ワインばかりだ。ワインには
ポリフェノールという成分が含まれていて、血管を強くし、
血液をサラサラにしてくれるという。

「身体にいいっていうからね、薬代わりに飲んでるんだ」
飲み助たち(僕もその1人)は、いつもこう言い訳しながら、
堂々と酒を飲む。

そばにもルチンというポリフェノールのお仲間が含まれている。
栄養価が高く、高血圧の予防にもなるというので、
私もせっせとそばを食べ、ワインをガブ飲みしてる。

「でも、駅前の立ち食いそば屋の、歯ぬかりするような
そばじゃあ、効果ないんでしょ?」

立ち食い専門の友人であるHさんが、心配そうに尋ねたものだ。
立ち食いそばの多くは、別名「馬方そば」といって、
そば殻すれすれまで挽きこんだ
色の黒い四番粉で打たれている。

香りは高いが、歯にぬかるばかりで、
お世辞にも美味いとは言いがたい代物だ。

対極にあるのが、色の白いさらしなそばだ。
上品で舌ざわりがよいが、その分、値段も高い。

さらしな粉にはタンパク質や植物繊維がほとんど含まれていない。
言い換えるなら、高純度のデンプン粉なのである。
ゆえに、栄養価はほとんどない。

つまり、血液をサラサラにしたかったら、ルチンが豊富で、
歯ぬかりのする、色黒の立ち食いそばを食べるのが一番、
ということになる。それを聞いたHさんの
喜ぶまいことか。

なんでそんなこと知ってるんだ、ってか?
自慢じゃないけど、過去にそば打ちの本を何冊か
出している(ゴーストだけど)。これが数十万部も売れた。
僕の場合、皮肉にもゴーストで書いた本のほうが売れるのだ。

人生なんてものは、いつだってこんなものだ。

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