2011年1月11日火曜日

才色兼備

(つづき)
日中間の微妙な問題は留学生の前では封印しておく。
これがわが家の方針だった。が、みごとに破られた。

「電車の中で、お年寄りに席を譲ったら、当人ではなく、
まったく関係のないおばさんが、『あんたどこの国から
来たんだい?』と聞くんです。中国ですと答えたら、
いきなりノーベル平和賞の問題を持ち出され、中国政府の
対応は非常にまずい、とそのおばさんは言うんです……」
と留学生のLさん。

わが家でもいろんな話をしているうちに、つい政治がらみの話になり、
勢い尖閣諸島沖の問題にもふれざるを得なくなった。
彼女も決してそうした話題をいやがっているようすはなかった。

彼女は胸をはって言ったものだ。
「尖閣は中国の領土。それを証明する文書があります」と。

いや、あの島々は国際的にも認められた日本の領土で、
中国や台湾が領土権を主張しだしたのは、イラクの埋蔵量に
匹敵する石油が海底に眠っていることが分かったからなんだ……。

話題はさらにエスカレートし、天安門事件やチベット問題にも波及。
彼女はもちろん正当性を主張したのだが、それらをひとつひとつ、
それもやんわりと突き崩していくと、彼女はだんだん言葉少なに。
「ぜんぜん知りませんでした……」
といいつつも、まだ半信半疑のようす。

外国からのお客さんに対してこの種の話題を持ち出すことの
非礼は十分心得ている。でも彼女自身、「日本人は中国人がきらい」
という事実を、各種の世論調査などを見て知っている。
なぜ中国および中国人をきらうのか、知りたがっていたのだ。

日本留学は果たしたけれど、いまだ日本人の友だちができず、
大学でも寮でも、いつも中国人の仲間たちと話してばかり。
日本人と、これほど真剣に話をしたのは初めてだという。

「まず何でも話せる日本人の友だちを作ることだね」
そういうと、彼女は大きく頷いた。

以上の〝日中論争〟は、すべて日本語で行われた。来日してから
まだわずかに4ヶ月。上海の大学で学んでいたとはいえ、
これだけややこしい話を、日本語で丁々発止とやり合えるところがすごい。
中国おそるべし、とあらためて感じ入った。

2 件のコメント:

Nick’s Bar さんのコメント...

ROUさん、

こんにちは。


ROUさんにとっては赤子の手を捻るより簡単な話に対応できる事を「丁々発止」とは言いませんよ。(笑)

でも、日本にいる間に日中の関係を別視点で見られる機会があるのは彼女にとってもよいことでしょう。

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

NICK様
それにしても教育というのは
おそろしいものだと、今さらながら
思いました。

子供の頃から、共産党政権に都合のいい
歴史を一方的に教え込まれる。
一種の洗脳ですが、あの国にいる限り
その縛りから逃れられません。

尖閣諸島の問題は、鳩山のおバカさんが
「領土問題化」させ、敵を勢いづかせて
しまいました。

いっそハーグの国際司法裁判所
に提訴したらどうでしょう。
たぶん中国はあわてふためくと思いますが……。