2011年3月20日日曜日

我を美しく

   落ちぶれて 袖に涙のかかるとき
                   人の心の 奥ぞ知らるる

鹿児島の民謡『串木野さのさ』の一節だという。
ボクはこの俚諺めいた言葉をひと目で気に入り、
若い頃、日記のはしに書きとめたことがある。

東北地方で被災した人たちにとって、
いま、いちばん身に滲みそうなのが
この言葉ではないか。

長女はわずかな給料の中から数万円を、
カミさんも数万円、学生の次女はなけなしの貯金の
中から数千円を日本赤十字に寄付した。

(万札が数枚あれば、けっこう飲めるんだがな……)
この期におよんで不謹慎なことを考えている私めは、
ただいま空っケツなので、寄付はしばし延期だ。
むしろこっちに緊急支援してもらいたいよ、
などと、再び三度よからぬ事を考えておる。

日頃、道徳家ぶってる人たちも、
いざとなるとからきしだらしがない、
という例はいくらでもある。←自分のことだ

不要不急でもないのに
買いだめをする、なんていう種族は、
みんなそのたぐいだろう。←これだけはやらない
まさに「人の心の奥ぞ知らるる」だ。

作家の池宮彰一郞はこんなことを言っている。
《人間性のなかでいちばん大事なのは志だ。
「志」とは士の心と書く。武士の第一義は「義」である。
「義」とは我を美しくあれ、の意だ。つまり、
人が美しく生きようとする心が「志」なのだ》と。

この震災で、失ったものはもちろん大きい。
が、得たものも少なくない、とボクは思っている。

8 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

地震・津波の被害が報じた直後ベトナム在住の長女から義捐金は何処に送ればいいのかの
問い合わせがメールがあり、我が子ながら
感心した。家長の私ははコンビに置いてある募金箱につり銭を入れただけで情けない。
連休が明けた明日にでも何とかしようと考えています。

失われたものが大きい反面、日本人の優しさ、辛抱強さを再認識できて嬉しく思って
います。勿論醜さも見聞してますが。。。

震災の救済活動、原発事故解決の為の支援等々でギクシャクし出していたアメリカとの
関係が良化するような方向に動けば、災い転じて福となすかも。

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

匿名様

おっしゃるとおり。
わが子の意外な?優しさに
ふれると、(ああ、おれの子育ては
間違ってなかったみたいだな)と、
嬉しくなりますよね。


それと東京消防庁や自衛隊、
警察のみなさんの決死の復興活動。

ほんとうに頭が下がります。
日本はまだ捨てたもんじゃありません。

匿名 さんのコメント...

武士の生き様を描いた池宮彰一郎の”志”の解釈、良く判ります。美しいですね! 

過日朝日新聞の天声人語に漢字の大家白川静の”志”の解釈が載っていました。”志”は二つの部首、士と心、で構成されているが上の”士”には動詞の”行く”の意味があり、
下の”心”と一緒になると ”心がリードすると所に行く”の意とのこと。これも良く判りました。

危険な場所で決死で働いて呉れている方々
正に武士で、心がそうさせるのでしょうか、美しい心の持ち主に違いありません。

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

匿名様

東京消防庁の隊員の記者会見は
泣けましたね。

発言も簡にして要を得て、
実にキビキビしている。
政治家のしゃべくりとは
まったく別物です。

政治家はだめですね。
「……でございます」だの
「……させていただきます」だの、
なんともまだるっこしい。

非常時なのだからお粗末な
敬語は排して、要点だけを
キビキビとしゃべらなくては
だめなんです。

でも相変わらず、心に響かない言葉ばかり。
政治家という人種どう転んでも二流なのだな、
とつくづく思いました。

匿名 さんのコメント...

本当に霞ヶ関の住人、紋きり袴の空疎な話が多いね。もっとグイグイ私たちを引き込んで呉れる話しを願いたいもんです。
 
政治屋ではなく、政治家になって欲しい。

アメリカでは政治屋をPolitician,政治家をStatemanとはっきり使い分けている人も居るようです。

霞ヶ関の人達、早くStatemanになって国・Stateを司って下さい。

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

匿名様

中国の女性報道官に姜瑜(きょうゆ)
という、おそろしくおっかなそうな
女性がいるでしょ。

日本には彼女のような堂々とした
インテリジェンスあふれる報道官
がいないのですよ。

彼女は外交学院卒の才媛で、
この5年制の大学は、容姿端麗
でないと応募できないのだそうです。

顔はともかく姿勢だけはいいですね。
少なくとも、上海豚みたいな
枝野官房長官よりはましです。

Nick’s Bar さんのコメント...

Rouさん、

こんにちは。

武士は食わねど高楊枝、といいたいところですが、貧すれば鈍するにならないか危惧しています。

50Hz圏の電力需要はこの時期で3400万Kwで、計画停電の実施で何とか帳尻をあわせている状況。

夏場に6000万Kwを超える需要をまかないきれるとは、到底思えません。

その時どうなるのか?国体として「志」を貫けるのか?



このコメントの切り口が違う事は分っていますが、あまり楽観的になれないのが正直なところです。

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

NICK様

ガマンするしかないのなら、
ガマンします。

何事も失ってみて初めて
ありがたみが分かる、
というのはありますね。

肉親を失ったものの苦しみに
比べれば、電気やガスの不足など
何ほどのことがありましょう。


日本人はこの災害を機に、
ローコストで生きていく術を
身につけたほうがいいんです。

夏場は男はパンツ一丁で、
女性はビキニスタイルで
暮らせば、みんな元気が
出るでしょう。

ああ、楽しみだ。