2011年4月5日火曜日

善い人悪い人

正義をまとった言葉が飛びかっている。

正義が破壊的暴力思想であることは、
文革時に吹き荒れた「造反有理」の正義を
思い起こせば足りる。あの文革で、無辜の
民2000~3000万の命が奪われた。

荷風が『監獄署の裏』という小品の中で、
こんなことを書いている。
《新聞記者になろうか、いや私はことによったら
盗賊にはなっても、まだ正義と人道を商品に
するほどの悪徳には馴れていない》

義援金を送る人は善い人。
節電をする人は善い人。
自粛する人は善い人。
これらに反する人は悪い人。
何にもしない人は悪い人。

善玉と悪玉とを単純に分ける俗論がまかり通っている。
そしてそれを新聞などマスコミの多くが支持している。
新聞ジャーナリズムは昔からこの種の
道徳的センチメンタリズムが大好きなのだ。


そしてこの正義にまっ先に同調するのが
愛国婦人会や隣組の組長さんの〝子孫〟たちだ。
錦の御旗をふりあげて、なんともまあ、
かまびすしいこと。

たとえ肉体は売っても
正義だけは売るな、と古人は言った。

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