2011年6月2日木曜日

だって寒いんだもの

「3.11」以来、ボクたちの生き方や考え方、価値観はずいぶん変わった。
いざという時に独り身では何かと心細いというので、
いま結婚相談所に駆けこむ女性たちが増えているという。

さて志ん生の『風呂敷』という噺の中に、
長屋のカミさんたちのこんなやりとりがある。

「お前さん、好きで一緒になったの?」
「(かぶりを振り)うゥん、好きじゃないの」
「なんか見込みがあんのかい?」
「うゥん」
「じゃ、どうして一緒になってんのさァ」
「(色っぽく)だって寒いんだもの……」

湯たんぽ代わりでもいい。さびしい独り寝よりはましだもの。
せいぜい毛深くてあったかそうなのを見つくろってほしいものだが、
目につく変化は婚活女性だけにかぎらない。マンションも分譲ではなく賃貸、
高層階より低層階志向へと大きく変わってきているという。

わが家は15階建てマンションの5階。それでもあの日は大揺れだった。
15階の住人は「生きた心地がしなかった」と言ってたくらいだから、
東京ベイエリアの超高層マンションの住人たちはどんなに恐ろしかったことか。

それともう一つ。「ダサイタマ」などとバカにされているわが埼玉県が、
〝海なし県〟ということで、思わぬ人気を博しているのだとか。
安心して住むんだったら断然サイタマがいい、というわけだ。
まるで「加齢」臭がいっきに「華麗」臭に大変身を遂げたようなもので、
なんだかキツネにつままれたような心地がする。

昨今の「断・捨・離」ブームも手伝ってか、余計なものを買わなくなった、
というのも大きい。どうせ乱離骨灰になってしまうんだから、
宝石や高級車を買っても意味がない――とまあ、こんなふうに考えちゃう。
阪神淡路大震災の時にも見られた現象だというが、
要は一種の刹那主義と虚無主義が心のうちに巣くってしまう。

地震津波によって物質主義的生き方から脱却できるというのなら、
それはそれでいいことかもしれない。宗教本がバカ売れしているというのも
その延長だろう。日本人の我欲と平和ボケはテポドンでも飛んでこなけりゃ
治らない、と再三書いてきたが、この災害を機にまともになるというのなら、
亡くなられた人たちに対して少しは申しわけが立つというものだ。

ダッサ~イさいたま県の、とある低層の賃貸アパートの、
そのまたがら~んとした部屋で、湯たんぽ代わりの亭主に抱かれ、
心安らかに眠る――これ以上の幸せなんてものが考えられるだろうか。
ザマミロ、なのだ。

2 件のコメント:

Nick's Bar さんのコメント...

Rouさん、

こんにちは。

気のせいか、しばらく気づかないうちに「ダサいたま」なる言葉はトンと聞かなくなったような気がするのですが。

たんなる気のせいでしょうか?

しかし、3.11以降、「風が吹けば桶屋が儲かる」という話(実情は逆というのが多いようですが)が風評ではなく、しっかり現実のものになってきているような気がしますね。

ジワジワとボディーブローのように効いてくるのではないかと危惧してます。


かといって、国外脱出を図る気もないですし。

今住んでいるところが崩れ落ちるような直下型の震災が起きたときは、おとなしく諦めましょう。

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

NICK様

こんにちは。

直下型の地震で被災したら、
遠慮しないでボクのところに
いらっしゃい。


毛深そうなNICKさんなら
湯たんぽ代わりにピッタリです。



でも夏場は暑苦しいから要らない。