2011年11月18日金曜日

和合に本腰

ことばの問題のつづき。

ボクの親友チョ・ヒチョル先生のことはすでにお馴染みだが、
今回は彼の奥方・崔銀珠(チェ・ウンジュ、韓国では夫婦別姓)さんのエピソード。

チェさんは日韓同時通訳では第一級の人で、金泳三、金大中元大統領
来日の際にも同時通訳をつとめている。小5~高1まで日本で過ごし、
その流暢な日本語はほとんどネイティブと変わらない。

1988年のソウルオリンピック。冷戦のさなか、「東西の和合」が大会テーマだった。
彼女はソウルオリンピック組織委員長の通訳をつとめ、8ヵ国同時通訳で進められる
開会式と閉会式でも日本語部門を担当した。

コトの起こりは開会式だった。コンノリという民俗遊戯で雌雄のコッ(太い綱)が
激しくぶつかり合うクライマックス。彼女はいろんな思いで感極まってしまったのか、
思わずこう叫んでしまった。
ただいま和合が絶頂に達しましたッ!

その日の夕刻、当時のNHKソウル支局長が日本語の「和合」の持つ
もう一つの意味をそっと教えてくれた。いわずと知れた「夫婦の性の営み」のことだ。
「キャーッ! うそでしょう?」
チェさんは両手で顔を覆ったまま、しばらく口がきけなかったという。

それが契機となり、チェさんはお茶の水女子大学に留学し、
日本語を一から学び直すことになった。
日本語のブラッシュアップにいよいよ〝本腰を入れる〟ことになったわけだ。

あっ、いけねえ。女性に「本腰を入れる」なんてお下品なことばを
使わせちゃいけないんだよね(←わざとらしい)。
社民党の土井たか子センセーはよく使ってたけどね。
あれは遊里から出たことば。
意味はもう、おわかりですよね。

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