2012年6月1日金曜日

もののふの国⇔もののけの国

「女の子も広く社会の動きに関心をもたなくちゃね……」
こどもの頃からの躾のおかげか、わが家の娘たちは実に丹念に新聞を読む。
とはいっても、そこは女で、政治経済の話になると途端に興味を失うようで、
ボクが尖閣や竹島問題、憲法改正の話なんぞを口にすると、あからさまに
「われ関せず」モードに入ってしまう。この無関心ぶりはわが家の娘に限ったものなのか、
それともオンナ一般にいえることなのか、にわかに判断しかねるが、
「ややこしい問題はオトコ衆に任せておけばいいや」という一種の甘えが
あるような気がしてならない。

ほんの数十年前までは、「憲法改正」を口にするだけで〝右翼〟のレッテルを貼られ、
うさんくさい目で見られた。いや、いまでも大して変わっていないだろう。
特に女性は今にも戦争が起きるのではないか、というような不安そうな顔をしてボクを
見つめる。この人、危険分子かも――視線にかすかな侮蔑と戸惑いの色が感じられる。

大宝律令の時代から、日本人にはなぜか憲法は不磨の大典だとする意識があるようで、
現行憲法はマッカーサーとその下僚たちがわずか1週間で考えたもので、
なかんず戦争放棄を謳った憲法第9条はアメリカの植民地だったフィリピン憲法の
コピーにすぎないのだよ、といくら口を酸っぱくして言っても聞く耳を持たない。

アメリカ人が1週間でこさえたもの以上の知恵が出ない、というのなら別だが、
もしそうでないのなら、日本人自身の手で憲法を作り直しましょうよ、
となぜ言えないのか。たとえそれが現行憲法とそっくり同じ中身になってしまっても
かまわない。とにかくみんなで知恵を出し合って世界に冠たる日本国憲法を作ろう、
と言葉を尽くすのだが疑心暗鬼。裏がありそうだと容易に信じてもらえない。

朝日毎日新聞を読み、知らぬうちにメカケ根性を植えつけられてしまった人たちには、
この当たり前の理屈がわからないのだ。自分たちが戦後以来ずっと米国のお妾さんである、
という自覚すらない。骨の髄まで飼い馴らされてしまっているのである。

マッカーサーは日本国憲法は日本人が作ったものだ、と強弁しているが、
ウソっぱちである。なぜウソなのかというと、占領軍が被占領国の憲法などを
作ってはならないとする国際法に違反し、そのことをマッカーサー自身が深く
自覚しているからである。現にドイツは「憲法は俺たちが作る」と国際法を楯に
一歩も譲らなかった。

憲法で戦争放棄を謳っているのだから戦争なんて起こりっこない、ってか?
ならば憲法で地震も津波も台風も来るな、と謳えば自然災害が起こらないのか。
まさかそこまでオメデタイ国民だとは思いたくないが、戦争がいやだというのなら、
なおのこと戦争の備えをしておかなければならない。

孫子も言っている。戦争が起きるのは、あるいは戦争へと追いやられるのは、
かねてからの備えが十分でないからだ、と。永世中立国のスイスは国民皆兵だし、
スウェーデンは重武装国家である。だからヒトラーもノルウェー、デンマークには
軍を進めたが、スイスとスウェーデンは巧みに避けた。

支那が空母を持った、さあ大変だ、とおバカな連中は震え上がっているようだが、
戦前の日本を思い起こしてほしい。当時の日本は航空母艦を10隻以上持っていた。
今から60年以上も前に、空母を10隻も持って機動部隊を編成できたのは日本と
アメリカだけだ。しかも6000キロもの大行軍作戦をやりハワイ攻撃を敢行した。
事の正否は別にして、これはとてつもない実力なのである。

日本は今でこそ空母を持たないが、支那と事を構えたとしても負けることはない、
と米軍は見ている。日本の空軍力は圧倒的で、訓練時間も質も支那とは違う。
海軍力にしたってロシアの中古を改良した空母一隻ぐらいではタスクフォースには
なり得ないのだ。

かつて支那と尖閣問題でもめた時、「軍隊を出すぞ」とのあっちの脅しに、
「やれるもんならやってみろ。こっちだって出すぞ」と安倍元首相は屈しなかった。
支那はそこで黙ってしまった。支那に対してはどんなことがあっても引いては
いけないのだ。そのへんのことが、ケンカ慣れしていない民主党政権にはわからない。
だからいくらでも譲歩してしまう。1歩引けば、やつらは2歩3歩と攻めてくる。

自分の国は自分で守る。
その気概を示せない国は他国から侮られる、と肝に銘ずべし。
日本は町人国家などではない、
「もののふの国」なのだ。



2 件のコメント:

帰山人 さんのコメント...

労師、「支那と事を構えたとしても負けることはない」
とは私には思えないんですがネ、今のままだと。
制海力・制空力云々なんて話以前に、
窒素とリンの農業肥料とレアメタルを停められただけで、
日本は負けます。
スウェーデンとスイスが強いのは、
武装に加えて食糧自給率の高さもある
(スイスはここ半世紀ヤバくなったけれど、
それでもイザという時の自給可能性には余力アリ)。
いくら「もののふの国」とは言っても、
実際に高楊枝で食えるワケじゃありませんからねぇ。
女が政治経済に無関心って、草食男子とやらもでしょ。
銃後の守りもできないんじゃ、精錬な軍備も意味がない。
農(林水産)と軍の一体改革が必要だと思われます。
このままじゃ、「もののけの国」になっちまいます。

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

帰山人様

お説ごもっともです。
さっそくタイトルを変えました。