2012年11月20日火曜日

ストーカーと呼ばないで

いわゆる「ストーカー殺人事件」が頻発している。相手に執拗につきまとい、
相手だけでなく、その家族にまで危害を加える。ボクにはストーカー心理ってもの
がよく分からないが、年頃の2人の娘をもつ親としては無関心ではいられない。

ストーカーという呼称は90年代に定着したという。それ以前は「変質者」とか「変態」と
呼ばれていた。ボクは〝呼び方〟は大事だと思っている。一時、「援助交際」という
言葉が流行った。ボクは最初、女性に不慣れな若者たちを支援するボランティア活動
かな、などと思ったが、大いなる勘違いで、実体は「売春」そのものだった。

言葉というものはふしぎだ。援助交際と呼ぶだけで、その意味合いが軽くなり、
罪の意識も薄れる。そのためか、気軽に売春する少女たちがどんどん増え、
買春するオジサンたちもまた増えた。日本語の構造にはそうした〝すり抜け〟
がある。

ストーカーという言葉は、なんだか響きがカッコよすぎる。言葉がカッコいいと、
やってる本人の罪の意識も軽くなり、マネするバカな人間がホイホイ出てくる。

そもそもstalkerという概念は、アメリカなどでは「殺人を目的につけ狙う」という
意を含み、日本とは自ずと異なっている。本来のstalkは「大またに歩く」だが、
他に「獲物を狙ってそっと歩く」の意もある。いずれにしろヨコ文字にすると
カッコよく響いてしまうのは欧米コンプレックスのなせる業か。ボクは思うのだ。
この際、ストーカーという言葉を廃し、「変質者」とか「変態」「色魔」といった
恥ずかしい呼び名を復活させるべきだと。

とにかく犯罪的行為に対してはカッコいい呼び名は付けないこと。
ストーカーと呼ばれると、つい「おれもやってみよう」というコピーキャットが
出てこようというものだが、もろ「変態」とか「色魔」と呼ばれたら、
「カッコ悪いからやめとこ」ということになる。この手のロクデナシたちには、
恥ずかしくてお天道様の下を歩けないような名前をつけてやるに限るのだ。

その点、中国語はハッキリしている。ラブホテルは『色情旅館』」だし、
映画の『危険な情事』(Fatal attraction)は『致命的吸着』と訳されている。
たしかにマイケル・ダグラスは、おっかないグレン・クローズに対して
致命的な吸着を犯してしまった。吸着するちょっと手前くらいでガマン
しておけばよかったのに、実に惜しいことをした。

言葉の問題を言い出すと切りがないのだが、「~とか」「~のほう」「~ってゆうか」
といった、いわゆる〝ぼかし言葉〟も若者たちの間ですっかり定着してしまった。
「一応」とか「とりあえず」といった言葉もよく使われる。
「大学はどこなの?」
一応東大です」
なにが〝一応〟だコノヤロー! ←オジサンは東大と聞くとなぜか突然凶暴になる

劇作家の永井愛が、ある夜奇妙な夢を見たという。
どういうわけか、あの植木等が、若い男に包丁を突きつけ、
「〝ら〟を入れろ!」と脅している夢だ。
「金をよこせ」ではなく「らを入れろ」と脅迫する光景。けっこう笑える。

わが家の全員はかろうじて「ら」を入れている。でも次女は時々、
「~ってゆうか」を使うし、もっと過激に「~てか」になることもある。
衆寡敵せず。そのうち多数を占める「ら抜き」派に吸収され、
少数派の「ら入れ」派に向かって「らを抜くんだよ!」と包丁で脅しているかもしれない。

「あなたは〝ら入れ〟派? それとも〝ら抜き〟派?」
「はい、一応〝ら入れ〟派です」←てめぇ、コノヤロー!





←よりどりみどりの「色情旅館」街。懐かしいなァ。
 ♪そんな「時代」もあったねと~←歌ってる場合か!

4 件のコメント:

Nick's Bar さんのコメント...


ROUさん、こんにちは。

確かに麗しいお嬢様を二人もお持ちの御身としては「援助交際」なる言葉に反応なさるのもわからぬではありませんが、まぁ、あのお二人に限ってはその心配の「し」の字も関係ありますまい。

それはさておき、貴兄のおっしゃられるように、呼称変更による従来の意味からの「すり抜け」、「陰翳の遮蔽」は日本語の最大の特徴と言ってもよいでしょう。

好ましくないもの、口するのが憚られるもの、忌むべきものに対する「呼称変更」は古より絶え間なく行われてきた文化なんでしょう。

ちゅうことで、「縁交」も、まぁ、売買成立のために双方の良心の呵責を一応は緩和する役目を担っているものと思われます。これとて、「鬻ぐ」なんちゅう古めかしい単語を使ってこれまでは黙認されてきたわけで、いまさら目くじら立ててもしょうがないんじゃないかと思われます。そういう文化なんです、我が国は。

はてさて、「ら抜き」ですが、個人的には嫌悪感を覚えますが、言語の「経済性」という点で見れば、抜いても意味が通じるという事なわけで、この欠落に歯止めをかけるのはほぼ不可能だろうという諦観に至っております。

文頭の「ていうか~」も、文末の「じゃないですか~」も、言い切らない日本語の昔からの特徴の延長で、「~だと思うんですが」とか「このような状況になっているかと。」といった言い回しとさしたる違いはないようにも思います。ただ、その言い方に我々の言語感覚が着いていけていないっていうか~。

ではでは。

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

NICK様

わが豚児たちのことで心配してるのは援交
ではなくてストーカーに遭うことなの。
ストーカーに変身する場合もあるだろうけど、とにかく援交じゃあない。

ところで世界最古の職業は「売春」であるという説が共通認識になっているけど、その根拠は〝神殿売春〟なんだね。男が貢ぎ物を神に捧げる代償に、巫女たちが春をひさぐ。

アテナイのパルテノン神殿の巫女たちも、
貢ぎ物をする男への返礼として、ナニをナニしていたらしい。

で、そのうち神様抜きで営むようになり、
いわば売春が巫女さんたちの副業として
発展していったんだ。

援助交際の歴史は古いんだね。

K子 さんのコメント...

ROUさま、

私、齢半世紀余を重ね、久方ぶりにストーカーに遭遇。

ミニスカートにパンプスが基本形の私。通勤の乗換時に、らせん状の階段を3階分ほど上るのですが、乗換駅の改札口で待っていて、私が上り始めるとついてくる輩がいます。私がズボンを履いている日はついてこず、少し長目のスカートの時はのぞき易いようにミニスカートの時より少し離れてついてくるという、芸の細かさ。改札口で顔を見ているのだから、凡その年齢はわかっているはずなのにね。

でも、こういうのは、改札口で立っているだけ、上を向いて歩いているだけ、と言われれば訴えるわけにもいかず、ここ2週間ほど気味悪がりながら通勤しています。

ストーカーって、何が楽しいのかしらん?

K子

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

K子様

へーぇ、おばさん専門のストーカー、
いや変態もいるんですね。感心、感心(笑)。

ま、本人は人助けのつもりでやってるのかも
しれませんが、ターゲットとなったK子様
からすればうすっ気味悪いですよね。

でも、変態がつきまとうのも分かるような気がします。K子様はスタイル抜群で、なんてったって美脚が魅力。

おまけにいい年こいてミニが大好き。
だれだって〝吸着〟したくなりますよ。

首から「わたしは人妻です」という
プラカードをぶら下げるのはどうですか?
それともおケツのところに、
「のぞくな!」というストップマークを
貼っておきますか?

いずれにしろ、変態はけしからん行為だけど、K子様の〝そそる〟ファッションにも問題
がありそうです。

冗談はさておき、変態はしつこいですから、
くれぐれも油断なきように。
今後はミニをやめ、モンペにしてください。