2013年7月10日水曜日

焙煎技術世界一になった日本人

いま、宅配便で届いたばかりのコーヒーを飲みながらブログを書いている。
ラベルには「エチオピア・イルガチェフ・コンガ農協」とある。
焙煎したのは福岡「豆香洞(とうかどう)」の後藤直紀さんだ。

後藤さんは去る6月26日~28日にフランスはニースで開かれた
コーヒー焙煎の競技会「World Coffee Roasting Championship 2013」において
みごと優勝した人物である。つまり〝焙煎技術世界一〟に認定された。

コーヒーは生豆の質はもちろんだが、味を決定するのは何といっても焙煎だ。
焙煎がお粗末だと、どんなにすばらしいコーヒー豆でも、そのキャラクターが
引き出せず、凡庸な味にとどまってしまう。

エチオピア・イルガチェフという豆は個性派の最右翼で、
〝山椒は小粒でピリリと辛い〟というタイプ。小粒ながらキャラが立っている。
イエメン・モカやパナマ・ゲイシャと同じように柑橘系の香りが特長だ。

ボクはこのエチオピア・イルガチェフとスマトラ・マンデリンが好きで、
中深煎り~深煎りで仕上げている。特にマンデリンはチャーフ(薄皮)の出が
少ないので、手網焙煎者には大助かりなのである。焙煎すると、
台所のガス台周りがチャーフだらけになるから、あとの掃除が大変なのだ。

「(エチオピアは)けっこう深く煎ってあるけど、すっきりした味だわね」
と、これはコーヒー狂の女房の弁。
ボクは舌も鼻もバカだから、「うまい・まずい」の区別もおぼつかないが、
わが女房殿は犬並みの嗅覚(人間の1億倍の嗅覚を持つ)と洗練された舌を持っていて、
料理はもちろんのこと、コーヒーの香味もたちどころに嗅ぎ分けてしまう。(ワンワン

さすがに世界一に認定された焙煎士のコーヒー、まずかろうはずがない。
聞けば後藤さんは南千住は「カフェ・バッハ」の田口護(焙煎御三家のひとり)
の下で3年間修業し、福岡県大野城市に自前の店をオープンさせたという。
5年前のことである。

たまたま後藤さんが世界一になったが、日本にはまだまだ焙煎名人がゴロゴロしている。
実名を挙げるのははばかられるが、ボクが名人と勝手に思っている人は
(ボクを含め?)少なくとも10人はいる。日本にはそういうアルチザン(職人)を愛し育む
土壌があるのだ。反対に韓国人などは、汗をかく仕事は卑しいと思っているから、
永遠にcraftmanshipは育ちようもなく、名人上手も輩出されない。
ブルーカラーを卑しむ国に〝匠の技〟などあり得べくもないからだ。

ちなみに2013年度の優勝者は日本人の後藤さんだが、
2位、3位と台湾勢が占めているのが嬉しい(共産中国は嫌いだが、台湾は好き)。
後藤さんの師である田口護が台湾では〝神様〟のように尊敬され、
著作の『田口護の珈琲大全』が飛ぶように売れている、というのが
分かるような気がする。

ボクも焙煎者のはしくれだが、うまくいく時とダメな時の波があって、
安定した焙煎がまだ十分にできていない(謙虚だな、感心、感心)。
それでも犬の鼻を持つ女房が文句も言わず黙って飲んでくれているのだから、
絶品とは言わぬまでも、それほどひどい代物というわけではないのだろう(どこが謙虚だよ!)。

世界一の焙煎技術と認定された後藤さんのコーヒーを、
ネット通販でいつでも飲めるのだからありがたい。アルチザンを敬愛する
日本という国に生まれてほんとうによかった(最近、この言葉で締めくくられるケースが多い?)。

それにしても、この夏は暑すぎるな。日本に生まれたことを後悔しそうになる(笑)。
近く留学生が来日し、わが家も面倒みるけど、この熱帯並みの暑さには閉口するだろうな。
あっぢぃよー!





←「焙煎世界一」に認定された「豆香洞」の後藤直紀さん。
若き日本の焙煎士たちよ、彼のあとに続け~ッ!








※追記
8/1日付けの『毎日新聞』に
焙煎技術世界一〟とする後藤さんの記事が出ていた。
後藤さん、おめでとう。
 

2 件のコメント:

木蘭 さんのコメント...

しまふくろうさま、こんにちは。

「枯れおばば」という正体をみられた木蘭でございます(笑)


私も一日に何杯飲むか分からないくらいコーヒーを頂いております。

しかしコーヒー音痴でありまして(笑)

何を頂いても「濃い」「薄い」「苦い」
そのような感想しか出て参りません(^▽^;)

香りがいいものだけは~おいしいなぁと思います(*^^*)。

いつかしまふくろうさまの焙煎されたコーヒーをご馳走して下さいな(笑)


しかし毎日毎日、
飽きもせずに暑い日が続くものですねぇ。

来月の枯れおばばの写真は~たぶん白の作務衣で写っているものと思われますので、
(違っていたりして(^▽^;))
少しくらいは清涼感が感じられる・・・かもしれません(笑)

毎月第二火曜日です。

もう散財せずとも、夕方くらいにはネットで見られることでしょう。

・・・その前に泥ごぼうを買ってしまったという場合は、ご散財下さい(笑)

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

木蘭様
こんばんは。
「枯れおばば」だなんて、めっそうもございません。横井也有の一句「幽霊の正体見たり……」の単なるアレンジですから、お気になさらぬように。

ボクにとって木蘭さんの「正体」はとても
嬉しいものでした。まず佇まいが凛としていて、とても清々しい。欲念から完全に解き放たれている感じがします。いいお顔です。

「文は人なり」と申しますが、
木蘭さんのブログやお便りを読んでいると、
心の中が洗濯されるような心持ちがします。

無欲恬淡とした木蘭さんの人となりが、
文章の中にすべて表出されているのです。
いまだお目にかかってはおりませんが、
佳き人と知り合いになれて、ほんとうに
よかった。

コーヒーがお好きなんですね。
ボクの焙煎したコーヒーを飲んだら、
「紅茶党」に鞍替えするかもしれませんよ(笑)。

毎月第二火曜日ですね。

みなさ~ん、毎月第二火曜日に
駅の売店で「サンケイエクスプレス」を
買ってくださ~い。木蘭さんのありがたい
徒然説法が連載されてま~す。100円です。

朝日の愛読者もどうぞ。
無脳から脱却できるかもしれません