2014年8月7日木曜日

プール難民の悲しき習性

連日の殺人的な猛暑。環境省は今世紀末に日本は亜熱帯化する恐れがある、と発表した。
こんなときのウォーキングやジョギングは自殺行為に等しいので(もっとも、ボクは膝が
いかれていて15分以上歩けない)、もっぱらプールで泳ぎまくっている。

とはいえ、わが町(埼玉県和光市です)の市営プールは震災時の影響で底が抜けてしまって
閉鎖され、ボクたち〝プール難民〟は必然的に水を求めて流浪することになってしまった。
最初は朝霞市のプールへ身を寄せたが、基準値を超えるレジオネラ菌が検出された
というので、ここも閉館。しかたなく、板橋区や練馬区営のプールまで遠征している。

昼間のプールは〝じじばばの巣窟〟という報告はすでにしたが、
それぞれのプールに共通しているのは、牢名主のようなボス猿が隠然たる勢力をなし、
当該プールを事実上仕切っているということだ。ボス猿は概ね60代後半から70代の
〝おじいさん〟で、その周りに50~60代のメス猿を5~6匹はべらせている。

ボクたち〝はぐれ猿〟が心すべきは、ボス猿に敬意を払い、メス猿には決してちょっかいを
出さないことだ。「泳がせていただきますでございます」とあくまで謙虚に、できるだけ
身を縮めて泳ぐこと。(ここはホームではない、アウェーなのだ)と、絶えず自分に言い聞かせ、
出すぎたマネをしないこと。ボス猿がひと泳ぎしたら、「みごとな泳ぎですね」などと褒めちぎり、
ご機嫌を取る。ついでにメス猿たちにもおべっかを使い、つとめて嫌われないようにすること
が大事だ。

それぞれのプールには〝しきたり〟がある。
板橋区営のプールで同じはぐれ猿の仲間とおしゃべりに興じていたら、
「おしゃべりはあっちでやってくれ。コース内では無用なおしゃべりは禁止だ」
と、ボス猿らしきおじいさんにひどく怒られた。

練馬区営のプールでは、片道通行のコースで、勝手にスタートしたら、
これまたボス猿の情婦みたいなおばさんにこっぴどく叱られてしまった。
まずは他の人にアイコンタクトをし、「わたくしがお先にスタートさせていただきます」という、
サインを送らなくてはいけない。で、「ああ、お先にどうぞ」のお許しが出たら、そこで初めて
スタートができる。実に、何と言おう、お行儀がよろしいのである。

ボス猿たちは絶えず群れに眼を光らせている。
流浪のはぐれ猿が群れの中の比較的若いメス猿(それでも50代だが)に気安く声をかけ、
軽口を叩いたりすると、すぐに寄ってきて無言の警告を発する。
「こいつは俺の女だ。手出しをするな!」
怖い眼でにらみつけ、闘志をむき出しにする。じいさんの示威(じい)行動だ。

ボス猿もその取り巻きたちも、概して歳を取っているから、
メス猿の前で〝ええかっこしぃ〟をしようと思っても、そのエネルギーはすでにない。
その引け目があるためか、ボクたちよそ者がこれ見よがしにスイスイ泳いだり、
華麗なるバタフライなんぞを披露したりすると、敵意をむき出しにしてにらむ。
こうなると、ただでは済まない。

孔子様は言われた。
《六十にして耳順(みみした)がう。七十にして心の欲するところに従って矩(のり
をこえず》と。

でも、こんなの嘘っぱちだ。
年寄りのバカほどバカなものはない
師匠・山本夏彦の言葉だが、こっちのほうがすんなりと胸に落ちる。
人間は猿より頭の毛が3本多い分だけ利口なのだ、といわれるが、
にわかに信じがたい気がしている。








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