2015年6月28日日曜日

嶋中労の酒場放浪記

徹底した筋トレで腰痛とは完全におさらばした、と過信していたのがまずかった。
準備体操もなくだしぬけに10キロのダンベルをひょいと持ち上げようと屈んだら、
「グギッ!」(←たしかにこんな音がした
ああ、またしてもやってしまった。

しかし、そこは日頃の鍛錬のたまものか。ギックリ腰になる一歩手前でからくも
踏みとどまってくれた。だが爆弾を抱えているようなもので、いつ破裂するかわからない。
(今夜は川越で〝三バカ反省会〟と称する飲み会がある。這ってでもゆかねば……)
♪止めてくれるな妙心殿。ゆかねばならぬ、ゆかねばならぬのだ……
だんだん悲壮感が漂ってきた。

酒飲みは並べてみな〝大バカ野郎〟だが、この三バカはそれに輪をかけた超の付く
おバカさんで、ひとりは超有名豆腐店店主のOさん、もうひとりはかつてはソムリエで、
いまは百姓のKさん。実はKさんとは初対面で、互いのブログを通して知り合った
ネッ友」である。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の時代にあっては、
互いの顔を知らなくても友達になれる。恐ろしい時代である。

バカはバカでも、そんじょそこらのバカとはちがう。
われら三バカは、すでに自らを〝愚者〟と観じておる。
グシャグシャになり「汝自身」を知って初めて悟りの道が開かれるというから、
大酒飲みの三バカも如来への道をまっしぐらなのだ。

さて反省会の場所は、川越駅西口の「やじろ兵衞」という居酒屋だ。
川越出身のボクも知らない店だが、『吉田類の酒場放浪記』という
テレビ番組で紹介された川越きっての酒場だという。

(たしかこのあたりにありそうなんだけど……)
待ち合わせ場所の居酒屋を探していると、
なにやら向こうのほうで手を振っているおっさんがいる。
薄っ気味がわるいから無視していると、
(シマナカさんですか? ほれ、東松山のKですよ)

エエーッ? このごましお頭のおっさんがKさんかよ? 参ったな。
(アニキはもう店の中で待ってますから、どうぞどうぞ)
Kさんは、5つ年上のOさんを「アニキ、アニキ」と呼んで狆コロのようになついている。
そのアニキより8つも上のシマナカ先生だァ。下にも置かぬもてなしである。
尻の穴がだんだんこそばゆくなってきた。

例によって飲むほどに酔うほどに舌が滑らかになり、
鉋っクズが燃えあがるみたいにペラペラと言葉が繰り出されたが、
いつものように、何を話したのか、さっぱり憶えていない。
ただOさんの「くっくっく…」というひきつった笑いと「ガハハハ…」という
Kさんの豪傑笑いだけが耳に残っている。

ホロ酔い気分でぶじ帰還したら、
身内の訃報が届いていた。
めでたや次女の婚儀が終えたと思ったら、次は葬儀である。
ああ、人生晴れたり曇ったり。



←BS-TBSの『吉田類の酒場放浪記』。
ただ、酒を喰らって飲み歩くだけの番組だが、
民放のバラエティと称するバカ番組よりは
数段マシ。

2 件のコメント:

帰山人 さんのコメント...

労師、飲み会やら身内の訃報やらでご多忙とは存じますし、師を下にも置かぬどころか風上に置かない弱輩からの僭越な言辞になりますが、アナタは本当に〝大バカ野郎〟です。
《10キロのダンベル》…そんなものは捨ててしまいなさい。腸腰筋(深腹筋)などの深部の筋膜は、師のダンベル使いでは鍛えられません。体表に見える筋肉ばかりを意識して筋肉マッチョを追うから、こういう事になる。深部の筋膜を鍛えるのだって、水泳と自重によるストレッチで充分やれます。
いや、こんな説明はしなくても既に知っていますよね、労師。わかっているのに、マッチョを追う陶酔に負けてダンベルに手が伸びる…そこが〝大バカ野郎〟です。酒を喰らう言い訳のバカさ加減は、私も応援します。しかし、ダンベル自虐はダメですよ。たまには、見栄を捨てて自分の体の声を聞きなさい。耳順とは、そういうことです。

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

帰山人さま

参ったな……こっぴどくやられてしまった。腸腰筋のことはテレビの健康番組でやってました。
深部はもちろん鍛えてるつもりだけど……今回は完全にうかつでした。筋トレは高校時代から
やっていて、正統なやり方をもちろん知ってます。でも、やっぱ歳なんだね。頭と身体が
うまくシンクロしてくれないんですよ。耳順ですか……なんかほど遠いって感じ。
一生、こうやってバカをやり続け、帰山人にやっつけられて一巻の終わり……そんな感じでしょうかね。
見栄は捨てませんが、私のことはお見捨てなく。